林檎電話販売権争奪顛末記

Business Media 誠:神尾寿の時事日想・特別編:黒船どころではない、津波だ――iPhone、驚異のビジネスモデル (1/2)

嗚呼悔しきかな。
ドコモから出ないiPhone
業界的に衝撃なわけだけど、思ったより静観されているようにも見える。

もっともお昼のニュースで流れるほどの出来事なわけで。

さて、なぜiPhoneソフトバンクから発売されるのか?
決して孫氏の涙ぐましい努力によるものではない(ちょっとはある?)
ちゃんとした理由があったようで。

ドコモのFOMAW-CDMA)では2GHz帯を基本として使いながらも、地方や郊外のエリア展開では積極的に800MHz帯の「FOMAプラスエリア」を用いており、東名阪では1.7GHz帯も使用している。日本メーカー製の現行モデルの大半はこの3つの周波数帯に対応しており、ノキアLG電子製のドコモ向けモデルでも、現行機種は2GHz帯と800MHz帯のデュアル対応だ。ドコモは地方のエリア拡大においてプラスエリアを積極的に活用したため、「プラスエリアに対応していないと、FOMAのエリアは(ユーザーにとって)不満の多いものになってしまう」(ドコモ幹部)。

 一方、ソフトバンクモバイルは3Gのサービスにおいて2GHz帯しか使っていない。これは同社がエリアカバーにおいて有利な800MHz帯を所有していないためだが、いずれにせよ全国エリアを2GHz帯のみで構築している。

 この背景を踏まえた上で、改めてiPhone 3Gを見てみよう。同機の3G通信部分は800MHz帯/1.9GHz帯/2GHz帯の3つの周波数に対応するトライバンド構成になっている。ハードウェア的に見れば、2GHz帯と800MHz帯を組み合わせて使うドコモのネットワークにも対応できる。しかしこのトライバンド構成は「(トライバンドに関しては)世界中を一つの設計で済ませるというAppleの方針から来るもので、ドコモ(のネットワーク構成)を考慮してではない」(Apple関係者)。

 実際に携帯電話を発売する際は、各国ごとに無線部の調整や実地での検証が必要になってくる。その際に2つの周波数を組み合わせなければならないドコモよりも、2GHz帯の1つの周波数対応のみで端末が発売できるソフトバンクモバイルの方が手間と時間を短縮できる。こうした状況を考え合わせると、Appleは早いタイミングで日本市場にiPhone 3Gを投入するために、ソフトバンクモバイルを選んだという見方もできる。

あっているか?どうかは別としても、対応に慎重な(というか愚鈍?)なドコモに比べて、話題作りにご執心なソフトバンクの方が動きが早いのは当然。
まずはソフトバンクと組む方がメリットがあったかもしれない。

業界1位のドコモと組んだ場合の販売数と、業界3位のソフトバンクと組んだ場合のそれ。
業界1位と組めば時間がかかるので発売は先になる。だが後からでも販売ルートとして確保できそうだ。
業界3位と組むと元々のシェアは少ないが、身銭を切った無茶な販売方法で威勢も良い。発売も最短で行える。少々の無理難題もがんばってくれそうだ。

こうして考えると、ソフトバンクが選ばれた理由が分からないでもない。

逆に考えるとapple的にも特殊な日本市場に乗り込むには、スピード感のある戦略が不可欠だ。
あえて特殊な日本市場を作った元凶の会社とせめぎ合いながら契約する重要な理由はない。あるとすればシェアだけだし。

これでソフトバンクが大幅にシェアをのばすことはないだろう。
多くの識者が語るほど大きな影響もないと思う。
そこで重要なのは、iPhoneの影響が少なかったことへの便乗意見ではなく、特殊な日本市場を改めて考えることだろう。