今そこにあるネットの危機

「青少年インターネット規制法案」が成立すると、日本のネットは完全に死ぬ - GIGAZINE

児ポ法によるネット規制がうやむやになった影で、全然うやむやでない問題のある法案が通りそうだ。
「青少年インターネット規制法案」とオブラードに包まれていた聞こえの良さがあるのだけど、結果はネット言論弾圧正当化法案でしかない。
あらゆるネットサービスの提供者に「よく分からん一方的な基準」に伴う情報公開責任を問うという無責任法案なわけで、つまりネットを使うな!と言っている法案である。

この手の話になると必ず出てくる例えで「人を殺せる刃物を売ったら犯罪か?」という問題がある。
刃物が包丁であれば、答えはノーだろう。
だが刃物が人を殺す前提の武器であれば法律で取り締まることが望ましい。
だが、その境界線は?

それに本当に悪いのは「刃物を人を殺すために使う者」であるわけで、それは個人の責任によるものでしかない。
販売者に責任を負わせては、ただの業務妨害にでしかない。



「青少年インターネット規制法案」はその点が未熟な法案だ。
考えたヤツは誰だ?
稚拙な考えとしか言えない、つまりアホである。
(・・・と書いておくと、後から取り締まられるのかなぁ〜)

キレのある情報は刃物のように危険なのは当然で、だからといって規制されないことが憲法で認められた自由だ。
受取手側がいかに消化できるかは個人の責任によるべきである。
また青少年であっても情報を享受する権利を有している。

ネットは青少年に悪影響を与えるかもしれない。
しかし良い影響を与える可能性もある。
情報や知識は使い方次第であらゆる影響を与えるものだ。

くだらない大人の考え(というか、誰に向かってシッポ振ってんの?これ考えたヒト)で青少年が情報を受け取る可能性を著しく阻害されることは、はたして悪い影響ではないのか?

刃物の話に戻すと、このアホ法案は刃物販売の弾圧を正当化するものである。
表向きは違うように見せかけても、その気になれば簡単に弾圧が可能になる危険性を生み出す。

「青少年が人を殺せる刃物を売るすべての販売店に刑罰を与えます。基準はありません。人が殺せそうだったらいつでも弾圧できます」

それって、売るなってことだよね。
「青少年インターネット規制法案」が言っていることは同じことである。

いや、法案が目指しているのはもっと違っていて、表現の問題なのかもしれない。
であれば草案を作ったヤツは無能だ。

もしかして、青少年保護という甘いお菓子のような言葉でごまかしているが、本当の目的は違うのかもしれない。
それって、どこの独裁国家だ?
「ネットで政治家の悪口を言った奴らめ、すぐに弾圧してやるからな。今は震えて眠れや、けっけっけっ」
なんてねぇ。

とにかくこんな法案がないと成り立たない政治なら、もう国家の将来は無い。
先にすべきことに目をつぶるのは誰にでもできるのだ。

今回、「青少年インターネット規制法案」にヤフーとマイクロソフト楽天などが共同で「反対」を表明しましたが、その中でも以下のように意見を出しています。

1. 保護者および学校関係者とともに、保護者が手軽に子どもに子どものインターネットの安全な利用環境の確保やリテラシー向上に関する教育ができるよう、保護者の視点に立ったわかりやすい教材を制作し、提供する

2. 保護者や学校関係者との協力関係の下、講師を派遣して保護者向けの勉強会を開催する。また、子どもを取巻くインターネット事情や利用方法に関し、定期的な情報提供を行う。

3. これまで保護者による指導の障害となっていた「保護者と子どもの知識の逆転」状況を保護者向けに情報提供等を行うことで改善をはかり、保護者が手軽に子どもを指導できる環境作りをお手伝いする。

なんでもかんでも犯罪につながるとして法律で規制するよりも先に、学校と家庭で教えるべきことを教えるのが先であり、そういう努力を放棄して、法律に頼ろうとすることが間違いなのです。法律で規制するのはあくまでも最低限の範囲にとどめていないと、どんどん拡大解釈され、最終的には自分で自分の首を絞めてしまい、どうしようもない状態になるのが目に見えています。

こんなこと、わざわざ論じないといけない世の中なんて。
どこで踏み外したのだろう?

まさに今そこにある危機は、くだらない政治家につけ込まれるスキを与えてしまった世間のことだろう。
変えなければいけないのは自分たちなのであるよ。