Web技術はすべて著作権違反ということに

副作用が大きすぎるストレージ・サービス違法判決 - 栗原潔のテクノロジー時評Ver2 [ITmedia オルタナティブ・ブログ]

少々”困ったちゃん”な判決が出てしまったようだ。
「自分のCDをリップして、アップロードし、自分の携帯電話にダウンロードできる(他人の携帯電話にはダウンロードできない)というストレージ・ホスティング・サービス」が「自分が所有する著作物を自分が使用するためだけにストレージ・サービスに許諾なくアップすると著作権侵害である」とされてしまった。
つまり自分自身のみで使用することを目的としても、ネット上を経由し特定のサーバ(もちろん不特定多数からのアクセスがなされる環境にあり、ただしアクセスの制御がなされてあろうとも)にアップされることが著作権違反となるわけだ。
これってかなり乱暴に見えるわけで、拡大解釈をすればすべての電子メールは著作権違反となりえるわけだ。特に添付ファイルなど資料的な特定のデータを送れば、データ作成者の著作権を侵害したともいえる。また画像共有サービスも当サービスの提供者が所有するサーバ内に蓄積されることが違法となる。

なお続きの記事で判決内容の詳細が分かったようだ。
MYUTA事件の判決文が公開されました - 栗原潔のテクノロジー時評Ver2 [ITmedia オルタナティブ・ブログ]
やはり予想通りで、問題の根幹は「著作物の使用が私的複製か?否か?」の部分を完全に除外して(何故???)サービスを提供した「サーバにデータを蓄積した業者の行為が著作権違反」と結論付けている点であろう。つまり「怪しいものは、とにかく有罪」と思考停止しているように見える。
当サービスのイメージは「私的データを預けるコインロッカー」程度の認識が分かりやすいと思う。しかし判決は「デジタルデータ=複製された著作権物」と短絡的に考えているようで、「携帯端末で〜」とか「IDとパスワード〜」とかの言葉で論点を見誤っているとしか思えない。「送信の主体が原告であり,受信するのが不特定の者であることに変わりはない」との言葉からも、判断能力を欠いていることを物語っている。