密林に見るロングテールの幻想

ITコラム: アマゾンの限界

ロングテールという言葉がマジックワードになっていた時期は少々過ぎてしまった。
どうにも8割と2割のお話もずいぶん聞き飽きたと思っていたが、実際は冗談のようなことをおっしゃるマーケッターさんがゴロゴロいる状態で、はたして日本でロングテールの理想型を実現できた企業があったのか?と思う。
某社の商品説明会で「ロングテールを実践する画期的なECシステム!」とか真顔で言われると、正直困惑してしまう。レヴュー機能があるぐらいで、どこがロングテールの実践なの?
2〜3年前なら許せるものの、今となっては笑うこともできない。

アマゾンはネットの世界ではトップブランドだと思うし、日本でもよく頑張っていると思う。ただ「アマゾン=ロングテール」と短絡的に理解することはアマゾンにとっても迷惑なのかもしれない。
けっしてアマゾンはロングテールを実践するために生まれた企業ではないし、アマゾンのやり方を良く見ているとロングテールというある意味夢のような理想像が描かれただけで、そのままイコールなわけではない。
ロングテール的な意味での成功が、オンラインショップの成功と決めるには少々論理の飛躍を感じる。少なくとも印刷コストが発生している出版業界において余剰在庫=マイナスなわけで、限りなく長いテールの先には必ず売れない在庫が存在する。テールが限りなく長くとも売れないものはやっぱり売れないのだから、在庫コストの圧縮よりも生産(印刷)コストの圧縮の方がほどよい長さのテールを作ると思うのだがどうだろう?

最終的なロングテールの成功は、出版よりも在庫スペースの皆無なサーバ空間の中だけのように、今更ながら思う。
つまりダウンロード販売?たぶん違うと言われるのだろうが。