出版業界戦々恐々?そうは見えないような、そう見せてるだけか

自費出版の時代 - 池田信夫 blog

他方、出版社は業界団体をつくるなど、予防線を張ることばかり熱心だが、彼らがいくらカルテルを組んでも、アマゾンが著者と直接交渉するのを防ぐことはできない。日本の著作権法では、出版社に著作隣接権がないからだ。再販制度も電子出版には適用されないので、電子出版専業のベンチャーが出てきて、出版社を「中抜き」して著者と交渉してアマゾンに仲介すれば、こんなカルテルは崩れるだろう。

インターネットによって新聞や雑誌が打撃を受けたのに対して、書籍への影響が相対的に軽微だったのは、モニターで数百ページも読むのが生理的に困難なためだが、この問題は電子端末で解決された。残るのはそこで読める本がないという問題だけで、これを解決するもっとも簡単な方法は、著者が自費出版することだ。たとえば当ブログの過去ログをまとめて書籍化すれば、そのまま売れる。

これによって著者と出版社の関係も大きく変わる可能性がある。日本の印税は一律10%で、例外は人気作家に限られるが、アマゾンのキンドルでは著者の取り分は自由に設定でき、平均35%ぐらいだという。これも自分でPDFファイルにして提供すれば著者がもっと取れる。

1500円の本が10%の印税で1万部売れても150万円にしかならないので、著述業で生活するのは困難だが、電子出版で同じ本を150円で売れば、10万部ぐらい売れるかもしれない。その80%を著者が取れば、1200万円だ。電子出版は既存メディアを殺すかもしれないが、著者を豊かにし、多くのクリエイターを生み出す可能性がある。

ここで問題が出版というハイリスクな博打にのせる駒はやはり優秀なことにこしたことがないわけで。CGMに対して数千数万のダメコンテンツの中から一握りのコアを探す行為が出版というフィルタであり、ローコストなネットがフィルタになりえるか?は表層だけのお金の話で終わってはダメなの。
昔同様のことを始めたけど、求めるものは結果であり過程に興味がないヒトは多いのだ。CGMの話をしたのに結果を先に求めるのはいかがなもの?
ともかくお金の話が先行してはダメで、プラットホーム論も同源。コンテンツを育成することの結果が収益となるね。